【SPICE独占インタビュー】高橋大輔が『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』歌舞伎×フィギュアスケートのコラボに挑む<前編>
『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』高橋大輔
『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』が、5月20日(土)より3日間全6公演、代々木競技場第一体育館のアイススケートリンクにて開催される。
世界初となる、歌舞伎×フィギュアスケートのコラボに挑むのは、歌舞伎界から市川染五郎、市川笑也、フィギュア界から高橋大輔、荒川静香をはじめとした豪華なキャスト陣。さらに映像演出にチームラボ、演奏にDRUM TAO、アーティスティックコンサルタントにはVOGUE JAPANが名を連ねる。一流の表現者たちが美意識と創造力を結集させ、どのような芸術空間をみせてくれるのか。
本公演のメインキャストであり、フィギュアスケーターの元世界王者・高橋大輔がインタビューに答えてくれた。インタビュー前半は『氷艶』に、後半は高橋にフォーカスしてお話を伺う。
戦い、舞う、勧善懲悪の物語
――さっそくですが、脚本はご覧になりましたか?
はい、いただきました。僕は、源義経の役ですね。その敵役として、染五郎さんが仁木弾正(にっきだんじょう)。歌舞伎の中では、一緒に登場することがない、時代背景も元の話もちがう登場人物が戦う、空想の世界の物語です。その世界をつなぐのが、荒川さん演じる女神ですね。
脚本は、「誰かかみ砕いて教えて!」っていうくらい漢字ばかりで難しいんですが(笑)、内容は勧善懲悪で分りやすく、歌舞伎の知識がなくても楽しんでいただけるストーリーです。
――岩長姫(市川笑也)、瓊瓊杵尊(織田信成)、木花開耶姫(浅田舞)、公表されている役名だけでも、たしかに漢字だらけですね(笑)。この作品には、台詞もあるのですか?
染五郎さんと笑也さんは台詞があります。僕は、滑りながら喋ることはできないので……。基本的に、僕は言葉よりも動きで表現する方が得意なんです……。がんばります(笑)。
高橋大輔
「染五郎さんにはいつもの僕のままでいいと」
――すでに練習ははじまっているのでしょうか。
ようやく動き始めたところで、先日初めて、染五郎さんと荒川さんと僕の3人で、氷の上で打ち合わせをしました。その時はまだ、歌舞伎とフィギュアスケートでお互いのできることを確認する段階でしたね。「こういう動きはできますか?」とご質問いただいて「できます」「できません」と答えたり、「こういった動きがあります」とご提案させていただいたり。でも、歌舞伎の方々は週3回、深夜に集合されてスケートの練習を始めていらっしゃるそうなんです。
――週3! タフですね!!
別の方が(染五郎さんのスケート指導に)ついてくださっているんですが、染五郎さんは、さすが体幹がしっかりされています。万が一にでも怪我が怖いので、こちらからはリクエストできませんが、本番には、スピンとかできるようになられているんじゃないでしょうか。ストイックでアクティブな方だなって思いました!
――制作発表の会見でおっしゃっていた<世界最速の飛び六方>が現実味を帯びてきましたね。高橋さんは、ご自身の役についてどう思われますか? 役作りなどをされるのでしょうか?
染五郎さんには “いつもの僕のままでいい”と言われています。「(役作り)しなくていいんだ。良かった! その分、動きをがんばろう!」って安心しました(笑)。歌舞伎に出てくる義経は、追われて逃げて逃げて……というイメージがあるかもしれませんが、ここでは逃げずに戦っていく義経になるそうです。僕らしく、勢いのある感じでやりたいです。
――高麗屋の染五郎さんによる仁木弾正、澤瀉屋の笑也さんもご出演となれば、代々木第一体育館でワイヤーアクション(宙乗り)も?
はい、お二人にはそういった演出もあるようです。女神も(宙乗りが)あるのかな? 楽しみにしていてください!
高橋大輔
一流の表現者たちの美意識が結集する
――各界のエースの名前が次々と出てきますね。この盤石な布陣、舞台は氷上、いつもの高橋さんのまま演じれば良いとなると……。高橋さん、余裕ですね!
全然そんなことないです!(笑) なかなか制限が多いんですよ。フィギュアでは、自分のナンバーをひとりで自由に演じることができました。今回は決まったストーリーがあり、リンクには同時に人がいて、その方々とコンタクトをとりながら歌舞伎"風”の動きをするので、今までのアイスショーとは全然違います。それから、殺陣もあります。刀を持って動くのは初めてですが、歌舞伎"風”に近づけるように、がんばります。
――”風”を強調されるのはなぜですか?
『氷艶 hyoen 2017 -破沙羅-』は、“和”の歌舞伎と“洋”のフィギュアスケートが融合する新しいものなので、歌舞伎“風”かな?って。それに伝統芸能ですから、この短い準備期間でスケーターにできるのは、がんばっても歌舞伎ではなく、歌舞伎“風”だと思っています。
たとえば<見得を切る>ってありますよね。「今回やるかもしれないなあ」と、うすうす想定してはいたんですが、いざ「やってください」と言われた時は「やっぱやるんだ。プロだけに任せた方がカッコいいのに!」って正直思いました(笑)。
もちろん少しでも近づけるようにがんばります。でも自分に期待されているのは歌舞伎っぽいことではなくて、フィギュアの動きで『氷艶-破沙羅-』を表現することかなって。それにも、まだちょっと受け取りきれていないところはあるんですが。
――「受け取りきれていない」とは?
染五郎さんは、様々なアイディアをお持ちです。その想像される世界を、この前お会いした時だけでは、受け取りきれなかったと思っています。もう少ししたら掴める気はするんです。今後、より具体的な稽古を受けたら「そういうことか!」というのも増えるのかな。本格的な練習が楽しみです。
和×モードのビジュアル撮影
――プロジェクションマッピングによる映像演出に、チームラボさん。和太鼓の演奏に、DRUM TAOさん。さらにVOGUE JAPANさんも参加されます。VOGUE JAPANは、どういったサポートをされるのでしょうか?
ヘアメイクとプログラムと、メインビジュアルの監修をしていただけるということで、つい先日、撮影がありました。まだお見せできる写真がないのですが、かっこいいですよ!
――それは楽しみです! 衣装やメイクはいかがでしたか?
“がっつり歌舞伎”ではなくて、和でありモードでもある感じです。歌舞伎役者さんたちの衣装の方がボリューミーで、スケーターの衣装はだいぶ軽くしていただきました。それでもエッジが裾に引っかからないようにとか、練習の段階から衣装を着て確認していきます。他の方の写真も拝見しましたが、けっこう派手で、なかなか迫力があります! メイクは、チラシと同じイメージかな。 あと、ロン毛です。
――今、なんと?!
ロン毛、ポニーテールです(笑)。地毛がこの長さなのでここがこんな感じでこうなると(髪をまとめる仕草で)、ちょっと違ったポニーテールになって、モードな感じなんです。わかりますか?
――そうですね。高橋さん、こんなところにホワイトボードがありますね。
絵は得意ではないんですが(苦笑)、ここがテンテンテンテンってなっていて後ろが長くて、こんな感じですかね?
絵をかいてるところ
書きあがった絵
――とても分りやすいです! ありがとうございます!! おっしゃる通り、これはモードな牛若丸、VOGUE JAPANな義経ですね。想像したら、公演がますます楽しみになってきました。
高橋大輔
インタビュー後半では、高橋大輔によりフォーカスした話を伺うことができた。インタビュー記事後編は近日公開予定。
※高橋大輔の「高」は「はしごだか」が正式
インタビュー・文=塚田史香 撮影=荒川潤
★インタビュー後編はこちら:http://spice.eplus.jp/articles/111863
■日時:2017年5月20日(土)~22日(月)※各日2公演
■会場:国立代々木競技場第一体育館
■出演:市川染五郎、市川笑也、高橋大輔、荒川静香、織田信成、鈴木明子 他
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【応募締切】
2017年4月2日(日)23:59まで