森川葵×北村匠海×佐藤寛太『恋と嘘』インタビュー 「いま」の恋愛観&結婚観をめぐって白熱討論
左から、北村匠海、森川葵、佐藤寛太 撮影=鈴木久美子
ヒロインの森川葵が、幼なじみ役の北村匠海と最良の結婚相手役に扮した佐藤寛太との間で揺れる映画『恋と嘘』は、累計1000万ダウンロード超のマンガアプリ・マンガボックスで、不動の人気を誇るコミックスの実写映画化だ。“政府通知”によって結婚相手が選ばれるという、自由恋愛が禁止された近未来の中で巻き起こる、めくるめく恋のストーリー。人を好きになることでしか味わえない気持ち、両想いのときの天にも昇るときめき、一方通行の片思いの切なさ、誰かに激しく嫉妬する醜さなど、恋愛というテーマに正面から向き合った作りは、大人になった自分たちが、かつて抱えていたかもしれない激しい感情を呼び戻される。
本作の共演を経て、すっかり仲良くなった様子の3人に、撮影時のエピソードを振り返ってもらいつつ、現在、22歳(森川)・19歳(北村)・21歳(佐藤)とティーンエイジャーに別れを告げようとしている彼らの“いま”の恋愛観や結婚観についても、白熱したトークを繰り広げてもらった。
SF的な世界でのリアルな恋愛と葛藤
左から、北村匠海、森川葵、佐藤寛太 撮影=鈴木久美子
――政府通知というルールのある世界が舞台でした。台本を読んで、どのような印象でしたか?
森川:政府通知がある世界は「実際に生きていたらどうなんだろう」と思いました。私の演じた仁坂葵は政府通知がいいと信じ切っているから、「明日になったら政府通知が届く」とワクワクドキドキしているじゃないですか。私にはそれがないから、どう表現していいんだろう、って。
――政府通知が実際にあったら、森川さんは嫌?
森川:いえ、嫌ではないですけど……映画では当たり前の世界じゃないですか。でも(現実の)自分には政府通知が届かないので、ドキドキワクワクする気持ちの表現を考えました。
――映画を観ると、葵のドキドキワクワク感がすごく伝わったのですが、結果どう表現に結びついたんですか?
森川:私的には「家に帰ったら今日は誕生日だからケーキが待っている!」みたいな気持ちで表現しました!
北村・佐藤:(笑)。
森川葵 撮影=鈴木久美子
――男性陣は、台本をどう読み解いていかれたんでしょうか?
北村:葵ちゃんと寛太くんと、お芝居を早くしたいと思っていました。話自体はSFっぽさもありながら、ラブストーリーでもある。「政府通知」があることによって三角関係というものがすごくよじれてもなく、こじれてもないので、スッと観ることができたと思います。誰かが悪者になるわけでもないですし、キレイな物語なので、純粋にこの3人を応援したくなる作品だと思います。しかも、話が二転三転していくので、楽しかったです。
――確かに、三角関係で悪者がいないのは珍しいですよね。
北村:ですよね。僕らを引き立てる悪者もいるわけではないですし、そこがいいなあと思いました。政府通知というもの自体も、別に悪いモノではないですし。
佐藤:僕は台本を読む前に原作を読んでいたんですけど、少女漫画とはまた違った恋愛観で描かれている漫画じゃないですか。キラキラした内容でやるのかなと思って台本を読んだら、一言でキラキラ映画とはまとめられないような内容だったから、驚きがありました。政府通知という馴染みのないルールの中で生きる人たちの、リアルな葛藤やもがいている姿は、ちょっと青春ドラマちっくな部分もあると感じていました。
――特に、佐藤さんが演じた高千穂蒼佑は、心の移り変わりが顕著でした。
佐藤:そうですね。僕のキャラクターはすごくわかりやすかったので、台本を読んだときから、葵と出会ってから時間が経過するにつれ、高千穂がどんどん心を開いている感じを受けていました。人間らしくなっていく姿を大事にしようと思って演じました。
佐藤寛太 撮影=鈴木久美子
――演じていて、キャラクターとのギャップ、共通項などはありましたか?
森川:私は葵と同じで、かなり優柔不断です……。自分が食べたいのに迷っちゃう部分も、すごくわかるんです。
北村:毎日、昼食の時間に「え~、どうしよう」と言っているのを聞いていたかも(笑)。
佐藤:ああ!そのイメージ、ある!
森川:からの、「ちょっと中見てみよう~」だよね(笑)。
北村:そう、毎回中を見ていたよね!
森川:それから、また悩んで(笑)。
――劇中と同じですね。政府通知を受けてドキドキする点も同じだと思いますか?
森川:私、普段ドキドキすることがあまりないんです。「楽しみ」みたいなのが、自分の生活の中にあまりなくって。
北村:それはちょっと寂しい気もするね…。
佐藤:けど、確かにドキドキは難しいかも。
――北村さんの演じた司馬優翔は優しい男の子でした。いかがでしたか?
北村:難しかったです。どこまでも優しさで表現しないといけない、というか。すごく難しさを感じながら、実はやっていました。
佐藤:でも役と一緒で、さらっとサポートしそうだよね。相手が声をかけてほしいタイミングで、フワッと声をかけそうな感じがする。人のことをよく見ているからだと思う。
北村:ああ、人のことはよく見ているほうかも。
森川:すごい見ているイメージがある。
北村:寛太くんのキャラクターは、全然(本人と)違うよね。一番違う。
佐藤:一番違う(笑)。ツンツンとかさ、憧れるもん!ツンツンとかは「そうなりたい!」としか思いません。どうにかツンツン要素がほしい……。これから育てていこうかなあ。
北村:寛太くんは、デレを感じる瞬間もあまりないかも。
――フランクな感じですか?
北村:フランクです。誰とでも仲良くできる!
森川:一番しゃべるよね。
北村匠海 撮影=鈴木久美子
――自分と違う役だからこその面白さは感じていたんでしょうか?
佐藤:そのほうが、僕は面白いです。自分と違うキャラクターだけど、全然違う人を演じられることは、自分の中で共通点だったり、納得していく道すがらが面白いんです。
北村:寛太くんは元々のテンションが高い人だから、真逆の役だと抑制するじゃないですか。僕みたいなタイプからすると、僕の真逆な性格はハイテンションなタイプなので、苦労するんです。だから僕は似ている役のほうがやりやすいかも。
佐藤:なるほどね。だから、僕はその反動が出て、現場でめっちゃしゃべってたけど(笑)。今回、もうすごかった。朝7~8時からずうっとしゃべってた。
森川:本当にしゃべっていたねえ(笑)。
――劇中で、一番印象に残っているシーンはどこですか?
森川:私はやっぱり「ほっぺツン」ですかね。
北村:うん。今思い出した!
森川:司馬くんとの距離感があるからできることだし、途中で高千穂にもするんですけど、それはふたりの距離が近づいてきたからこそ、葵も「しよう」となってやったことだと思うので。ふたりとの距離感を表している気がして、すごく好きですね。
北村:僕は葵ちゃんとふたりのシーンで、丘のベンチに座って葵が高千穂にやってしまったことを聞いている空気感。「安心した。ちゃんとパートナーのことを好きになっている」と言うシーンです。
森川:ああああ。それ、いいシーン!
北村:すごく好きなシーンなんです。演じているときから「このシーン好きだな」と思っていて。観ていても、やっぱりいいシーンでした。
佐藤:「もし俺がパートナーだったら、俺のすべてをかけて葵を幸せにする」って、普通に言っている司馬が好き!
森川:いきなり(笑)。
佐藤:自分の想いが先走って、普通に言っちゃっている司馬が好き!
北村:司馬って、不器用なんですよね。
佐藤:不器用だけど真っすぐじゃん?
北村:そう。だから優しさでしかカバーできない。
佐藤:うん。いい!いい!
高校時代から現在まで……三人の恋愛・結婚観とは
左から、北村匠海、森川葵、佐藤寛太 撮影=鈴木久美子
――演じた役柄は高校生でしたが、皆さんが高校生のときに憧れた恋愛はどういうものですか?
北村:制服で遊園地に行くとか。
森川:ああ、憧れた~。
北村:憧れたけど、僕の場合は、楽しむということより緊張しちゃいそう。
佐藤:……俺、全然楽しめる……。
――(笑)。
北村:楽しめそうだね~!
佐藤:本当に普通の高校生だったもん、ほんっとに。
森川:へえ~、いいなあ!
北村:僕は人混みがちょっと苦手というところもあるんです。でも純粋に楽しんでいる高校生たちを見て「いいなあ!」と思っていた。
北村匠海 撮影=鈴木久美子
――人混みがなければ、大丈夫なんですか?
北村:絶対ないけど、すっからかんの遊園地だったら、めっちゃ楽しいかも!?
森川・佐藤:(笑)。
北村:「次ジェットコースター行こう!」ってなるけど。
――キャラクターのカチューシャも、おそろいでつけてくれますか?
北村:言われたらつけますよ?
森川:似合いそう~~。
北村:永遠につけていますよ(笑)。
佐藤:つけていそう(笑)。僕は免許を持っていなかったけど、バイクとか車とかに憧れていました。できないことにやっぱり憧れて。福岡出身なので、ディズニーも遠いから行けないし、バイクの後ろに彼女を乗せて、とかに憧れた。バイクとか格好いいじゃん。ちょっと大人でさ。「ブーン!」って。
北村:東京生まれだからかもしれないけど、畑に囲まれている一本道を自転車で走ってみたかったな。
森川:腰に手を回してるんでしょ?
北村:そうそうそう!ジブリであるやつ!憧れたあ~。
――森川さんは、いかがですか?
森川:すっごいバカみたいなことを言ってもいいですか(笑)?
――もちろんです!
森川葵 撮影=鈴木久美子
森川:一緒に部屋で勉強をしていて、「もう飽きた~」と言っていたら、「それ頑張ったらご褒美あげるから」とか言われて、「何?何?」って言いながら勉強を頑張っちゃうんです(笑)。それで、「よしよし、頑張ったね」みたいな…そんな少女漫画っぽいことをされたかったです(笑)。
佐藤:キラキラモードだね!
北村:キラッキラだね!
――「幸せって何ですか?」と問いかける葵の一言が胸にささったのですが、皆さんが思う理想の恋、ひいては結婚はどんな感じですか?
一同:難しい!
――ですよね、すみません(笑)。きっと年によっても考え方は変わるはずなので、「今の」皆さんが思うことをお聞きしたいです。
北村:本当に年で変わると思います。寛太くんはどう?
佐藤:仕事が一番ということをわかってくれる人。その人と付き合うことで、さらに仕事がプラスになるというか。浅い人じゃなくて、自分の人生が深くなる人がいいなあ。だから何でも話せる人がいいかな。結婚観は難しいですよね。
北村:難しい!
佐藤:高校生のときとかは「25くらいまでに結婚して~」と思っていたけど。
北村:高校のときとかは、両親の姿をみて結婚したいなあと思っていたかな。今聞かれると、(答えに)詰まるよね。
佐藤:うん。
森川:私は割と決まっています。今、自分は仕事をしていて、お金もきちんと稼いで、しっかり働いて生活をしているじゃないですか。けど、結婚をしたら、お金とかのことは考えなくてもいい状態で(笑)、お芝居をしていきたいです。だから、ちゃんと養ってもらえる人と結婚したいです。
――すっごく現実的なお話ですね。
佐藤寛太 撮影=鈴木久美子
佐藤:ゲンジツテキデスネ。
北村:なるほどね。だとしたら、僕の理想とする結婚観と相性がいいかもしれない。
森川:……本当?
北村:僕は養うので、相手には何でも好きなことをしてほしい派なんです。
森川:えー!
北村:僕は、僕に縛られてほしくないと考えていて…。
森川:ええ、すごい素敵!びっくり!
北村:恋愛観と結婚観は一緒なんですけど、僕に縛られない生活であってほしいと、すごく思います。
佐藤:かっこいい。
――昔からそういう考え方なんですか?
北村:お芝居や音楽に対する意識が変わっていくごとに、そうなっていった感じです。自分にとって「お仕事とは」というものが確立されていく中で。僕は結婚した相手に無理をして仕事をさせる気はないというか。
森川:素敵~~。
北村:専業主婦がいいなら専業主婦でいてくれていいし、好きなことをしてくれればいいなあって思うんです。
森川:そんなことを言ってくれる男性、女性はうれしいですよ!
――森川さん、近くにいましたよ。
森川:そうですね!でも、大丈夫(笑)。
北村・佐藤:それは大丈夫なんだ(笑)。
インタビュー・文=赤山恭子 撮影=鈴木久美子
映画『恋と嘘』は10月14日(土) 全国ロードショー。
森川葵×北村匠海×佐藤寛太サイン入り『恋と嘘』プレスを1名様に
撮影=鈴木久美子
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森川葵 北村匠海 佐藤寛太
監督:古澤健(『ReLIFE リライフ』)
脚本:吉田恵里香(『ヒロイン失格』)
原作:『恋と嘘』ムサヲ(講談社)
主題歌:阪本奨悟「HELLO」(A-Sketch)
制作プロダクション:The icon
配給:ショウゲート
公式サイト:http://koiuso.jp/
(C)2017「恋と嘘」製作委員会 (C)ムサヲ/講談社