『アートフェア東京 2019』今年のテーマは「Art Life」 エリアを拡大し、時代・地域・アートのジャンルを横断した作品を展開
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
日本最大級の国際的なアート見本市『アートフェア東京 2019』が、2019年3月7日(木)〜10日(日)まで、東京国際フォーラムで開催される(※3月7日は招待制)。
14回目を迎える『アートフェア東京 2019』は、「Art Life」をテーマに掲げ開催。東京国際フォーラムロビーギャラリーでの展開面積を昨年より2倍に拡大し、新しい展示販売セクション「Crossing(クロッシング)」を展開するほか、新進気鋭の注目作家を個展形式で発表する「Project」も開催。そして、前回好評を博したふたつの特別展、大使館との連携企画「World Art Tokyo」、国内芸術系大学との連携企画「Future Artists Tokyo」が規模を拡大して展開する。
テーマ「Art Life」
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
テクノロジーの進化はとどまるところを知らず、隅々まで浸透した仮想的なネットワークが今や社会の根幹をなしている、一方、遥か昔から、自然は人間の叡智が積み上げた秩序を一瞬で奪い去る脅威であると同時に、私たちの原始的な癒しであり、糧であり続けている。
効率や経済性を追求する時代の中で、自然回帰によって生活の改善を目指したり、積極的にスローな生き方を考え直すなど、現代社会に生きる私たちは、自分にあった様々なライフスタイルを実践してきた。しかし今、私たちがより必要としていることは、多種多様な他者の表現に自身の感性を磨き、また対話することで自己を見つめ直すことではないだろうか。
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
『アートフェア東京 2019』では、「Art Life」をテーマに掲げる。アートと対峙する時、鑑賞者は自分の興味や思考を改めて見つめ、なぜそのアートに魅かれるのか、自分自身の思想や生き方を考え直すきっかけになるはずだ。価値観が多様化し産業や文化が複数に交差している現在、アートは人生に影響を与え、未来を指し示す役割を担い得るだろう。
キービジュアルは、人類の歴史上最古の色「赤」
太古の時代、日本では「しろ、くろ、あか、あを」は光の明暗を指す言葉だったが、時代が進むにつれ、「赤」「青」は色相を示す言葉に変わっていった。「赤」は、平安時代には禁色(きんじき)と呼ばれる高貴な身分のみに着用が許された特別な色として扱われた。
白を基調とした『アートフェア東京 2018』キービジュアルに続き、「Art Life」がテーマの『アートフェア東京 2019』は、縄文時代の土偶や古墳時代の埴輪など赤く彩色された人物像が多く残されるほど遥かに昔から人々の生活に密着してきた「赤」で彩る。
人類の歴史上最も古くから使われた「赤」には人類共通の普遍性があり、多くの言語で血か火の色のどちらかの言葉から派生していると言われている。アメリカ人人類学者の研究によれば、「赤」は人類が最初に認識した色、有彩色の中で一番初めに色名がついた色として世界各国で共通している。
アートも世界共通のコミュニケーションツールとして、地域・時代を超え価値を共有してきた。アートが人々の生活に彩りを与えることを、人類が最初に認識した「赤」という色をメインカラーとし、人々の人生にアートという新しい「色」を加えてほしいという思いを表現している。
前回より広いブース展開、ジャンルを横断した美術品が集まる「Galleries」
メル・ボックナー 《ブラー、ブラー、ブラー、》
国内外で活躍するコマーシャルギャラリー・美術商が出展する「Galleries」の最大の魅力は、時代やジャンルを厳密に区分けしない会場構成により古美術のコレクターが現代アートに出会ったり、現代アートのコレクターが古美術を購入したりするなど新たな関心と関係が生まれることだ。『アートフェア東京 2018』で出品された縄文土器をはじめ、ルノワールやマティスなど歴史的な美術品から、ジョナス・ウッドや岩崎貴弘など国内外の現代アートまでが並ぶフェアは、海外ではなかなか見られず、複雑かつ成熟した日本のマーケットの縮図を体感できる。また、平均ブース面積が前回より約 120%に広がる今回は、各ブースこだわりある展示展開により、各出展者の一押しのアーティストの作品をダイナミックに観ることができるだろう。
大紋手高麗金襴花兎(角倉金襴)
『アートフェア東京 2019』も、「PERROTIN」や「SCAI THE BATHHOUSE」、「シュウゴアーツ」、「東京画廊+BTAP」など世界のフェアに参加しているギャラリーが出展するほか、今年7月に駐日ブラジル大使館のファサードに作品を展示した「ヴィック・ムニーズ」や、ワシントン・ナショナル・ギャラリーでの個展経験もあるアメリカ人のコンセプチュアル・アーティスト「メル・ボックナー」など、世界的に活躍している作家の作品が多く出品される。また古美術では、西洋骨董陶磁器を専門に扱う「ロムドシン」が初出展するほか、「オリエント考古美術・太陽」や「銀座 古美術宮下」なども出展。今まで以上に時代や地域、そしてアートのジャンルを横断した美術品が集まるセクションとなっている。
アートフェア東京の“顔”となるロビーギャラリーを彩る「Crossing」
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
『アートフェア東京 2019』より新設されるセクション「Crossing(クロッシング)」。多彩なアートの分野が交差する「Crossing」には、日本を代表する百貨店企画ブースや、数百年の伝統と日本各地の文化を今に伝える地方工芸団体、そして多様な価値観で表現されるアウトサイダーアートやタレントアーティストなど、バラエティに富んだアートのジャンルが集合し、最新の日本のアートシーンを発信する。
百貨店からは、西武・そごう、三越、Artgloriuex GALLERY OF TOKYO(アールグロリュー ギャラリー オブトーキョー)(松坂屋)、の3社が出展。日本のアート市場で、ギャラリーに次ぐ2番目の美術品売上をしめる百貨店は、その展示も例年好評を博している。金沢市工芸協会、金沢クラフトビジネス創造機構、金沢卯辰山工芸工房、香川県漆芸研究所など地方自治体による工芸作品の出展も注目だ。各地の特色や伝統を現在に引き継ぎながら、地方自治体が作家を育成・サポートしていく環境から生み出される作品には、これからの日本工芸の新しい可能性を見出すことができるだろう。その他にも富山にゆかりのある作家の作品が展示されるなど、東京にいながら、各地域のアートシーンを体感することができる。
また、株式会社よしもとアートエンタテインメントからはタレントアーティストの作品も出品される予定。近年、芸能人による個展が各地で開催され、彼らの作品はアートに馴染みのない方々にも、アートのある世界への第一歩を踏み出すきっかけになっている。様々な分野から、多様な形での表現を体感できる「Crossing」。アートフェア東京の“顔”となるロビーギャラリーを彩る。
半数が初出展、挑戦意欲あふれる作品が並ぶ「Projects」
AFT2018 Photo : YosukeTakeda
これからのアートシーンで注目すべき作家を個展形式で発表するプロジェクツは、東京国際フォーラムのパブリックスペースで展開。同形のブースが連なることで、それぞれの個性が際立ち、作家の凝縮された世界観を見比べられることが特徴だ。半数のギャラリーが初出展となる今回、折り鶴やテラコッタを使った作品や、ジクレーやビーズワックスを使用したペインティングなど、ユニークな素材から生まれる作品が出品され、多彩なアートの表現に彼らの挑戦意欲が見てとれる。ニューヨークのアートシーンで活躍し、メトロポリタン美術館(アメリカ・ニューヨーク)に作品が収蔵されている作家を始めとした、粒ぞろいの作家が出品する。
イベント情報
4日間 (最終入場は各日終了30分前)(※3月7日は招待制)
会場:東京国際フォーラム ホールE(東京都千代田区丸の内3-5-1)
ホームページ:http://artfairtokyo.com