『談ス』に向けて、森山未來が大阪で会見

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レポート
2016.2.18
森山未來

森山未來

「僕らのレパートリーとして、やり続けて成長させていきたい作品」(森山)

大植真太郎、森山未來、平原慎太郎という、国内外で活躍する若手ダンサーが自主的に企画し、今の自分たちの身体と思考をぶつけ合うことで生まれたパフォーマンス『談ス』。昨年青山円形劇場で世界初演を迎えた作品が、昨年末の北九州公演を経て、2016年3月に国内15ヶ所を駆けまわるという、ダンス公演としては異例とも言える全国ツアーを敢行する。今回の出演者の一人で、イスラエルのダンス留学から帰国後『プルートゥ』『死刑執行中脱獄進行中』など、パフォーマンス性の強い舞台に立て続けに挑戦している森山未來が、昨年末に大阪で行った会見を、遅まきながら掲載する。

本作は昨年2月に、大植が拠点にしているストックホルムで、3人が話し合う所からクリエイションが始まった。その内容について、森山はこのように振り返る。

「3人で“今こういうことに興味がある”みたいなことをしゃべって、それを僕が録音して文字起こししたんです。それで気になった所を全員でピックアップして、身体に起こせるものは起こしていく、という作り方をしてました。メインで取り上げたのは、不確定なものや曖昧なものなど、どんな風に認識したらいいかわからないものに焦点を当てられないか? ということ。たとえば科学が発達して、世の中は便利になってるけど、非科学的なものや感覚的に受け取れるものが、どんどん隅に押しやられていく風潮が嫌だなあ、とか。でもそういう不安なもの、不確定なものっていうのは、もしかしたら“踊り”っていうことにも通じるかもしれない…本当は言葉だってそうなんですけど。そういったものを、どういう風に自分たちは見つめられるのか? みたいな話は最初にしました。ダンサーのセンスとして、理由なく踊れてしまうというのがあるんですけど、それだと…それはそれで素晴らしいものは素晴らしいけど、抽象性が増すんです。ちゃんと理由があって身体を動かす方が、身体だけではないもう一個のレイヤーが重なっていく面白さや、身体を動かすことの強さが出てくる。そういう風に言葉を重ねながら、身体も重ねていったみたいな感じでした」

もう1つキーワードになったのは、「3」という数字だったそう。

 

「さっきの話とは別に、身体に起こしやすい形として、今回は(出演が)3人なので“3”という数字の面白さを考えられないか、みたいなこともあって。たとえば右左とか、白黒とか、その2つで成立している言葉に、もう1つ何かの不安要素が加わった時に、そのバランスがどう変わっていくのか? と。あるいは3つで成立していること…光の三原則とか、液体と気体と固体だとか。そういうことを、3人でコンタクト(他者に身体を預けたり支えたりしながら作り上げる動き)をしながら作っていきました。ただ3人で作っている時はすごくいいバランスでやれてるのに、1人が抜けるとその間煮詰まったりしてたんです。この3人の関係性があったから、こうにしかならなかったという、絶妙なバランスで成り立った作品ですね」

初演は円形の劇場だったが、今回はほとんどの会場がプロセニアムということもあり、見せ方に少し工夫を凝らすとのこと。さらに今回のツアーは、森山にとっては「再演という感じがそもそもない」そうだ。

「北九州(のプロセニアムの劇場)で上演した時に、床に書いたチョークの文字とかが後ろの席では見えないと思ったんで、小型の小さなカメラを使って、スクリーンに生映像をプロジェクションするという方法でやってみたんです。円形舞台だとみんな見え方が違うんで、受け取り方や解釈がより広がっちゃうけど、プロセニアムは基本的には一方向なので、みんなが共有できる情報がたくさんある。だからお客さんのまとまり方もすごく良かったというか、リアクションを全員で共有できるんだなあと思いました。この作品は僕らのレパートリーとして、時間をかけて場所を変えてずっとやり続けて、成長させていくというイメージがもともとあったんです。ダンス作品でも演劇作品でも、何か一回作品を作ったら、それがどんどん消えていくみたいな流れがあるので。だから昨年(初演を)上演した時点で、やったからやったで終わりという感覚はなく、ずっと持続させていく気持ちはありました。だから“再演”という意味合いではないかなと」

初演を観た人からは「ダンスと思って観に来たら肩透かしを食らってしまうけど、不思議な間合いとか笑いの部分で、何か見続けてしまう」という感想をもらったという森山。ダンスともコントともアートとも付かない、不思議なコンテンポラリーダンス・ワールドに、とりわけ「ダンスってどう見たらいいの?」と身構えていた人は、この機会にぜひ足を運んでほしい。彼らの鍛えられた動きに見惚れるだけでも楽しいだろうし、その裏にある「不確定なモノ」や「バランス」について考える良い機会ともなるに違いない。

公演情報
『談ス』
 
《神奈川公演》
■日程:3月1日(火)
■会場:鎌倉芸術館 小ホール

 
《東京公演》
■日程:3月3日(木)~8日(火)
■会場:イイノホール

 
《名古屋公演》
■日程:3月9日(水)
■会場:アートピアホール

 
《大阪公演》
■日程:3月11日(金)~13日(日)
■会場:大阪ビジネスパーク円形ホール

 
《松本公演》
■日程:3月14日(月)
■会場:まつもと市民芸術館 実験劇場

 
《金沢公演》
■日程:3月16日(水)
■会場:金沢市文化ホール

 
《新潟公演》
■日程:3月17日(木)
■会場:りゅーとぴあ・劇場

 
《青森公演》
■日程:3月19日(土)
■会場:リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)

 
《仙台公演》
■日程:3月20日(日)
■会場:仙台電力ホール

 
《札幌公演》
■日程:3月22日(火) 
■会場:道新ホール

 
《京都公演》
■日程:3月24日(木)
■会場:ロームシアター京都 サウスホール

 
《広島公演》
■日程:3月25日(金)
■会場:広島市南区民文化センター

 
《福岡公演》
■日程:3月26日(土)
■会場:アクロス福岡 イベントホール

 
《大分公演》
■日程:3月27日(日)
■会場:大分コンパルホール

 
《沖縄公演》 
■日程:3月29日(火)
■会場:国立劇場おきなわ
 
■構成:大植真太郎
■振付・出演:大植真太郎、森山未來、平原慎太郎
■公式サイト:http://dansu2016.com/

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