「日本に足りないのはBAKA VIBES」元球児のMACK JACKがニューシングルに込めた想い、地元神戸で語るレゲエと野球への愛

インタビュー
音楽
2022.12.3
MACK JACK

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メンバー全員が元球児の、神戸発レゲエグループ・MACK JACKが、12月2日(金)にシングル「BAKA VIBES/翔んでWi-Fi (feat.ジャガ先輩)」を配信リリースした。さらに12月16日(金)には大阪アメリカ村・BEYONDで、18日(日)には神戸・太陽と虎で、ゲストにレゲエDeeJay CORONAとシンガーソングライターの近石涼をそれぞれ迎えたツーマンライブ『バッチこ〜い!2マン! 2デイズ!』を開催。今回SPICEでは、初登場の彼らにインタビューを敢行。ニューシングルとツーマンライブに向けた想いを語ってもらった。取材地は、神戸三宮にあるレゲエクラブ・JAMDUNG(ジャムドン)。このお店は、メンバーがデビューする前に約4〜5年修行したというレゲエバーで、今年で25周年を迎えた。ボブ・マーリーのライブ映像が流れる彼らの馴染みの場所で、メンバーのALI(アリ)、M.C.L(ミッチェル)、CHAI(チャイ)、JAGA-C(ジャガシー)の4人にたっぷりと話を訊いた。写真からもわかるように本当に仲の良い4人。取材も終始賑やかで楽しい時間となった。彼らには一度会うと好きになってしまう魅力がある。高校時代に叶わなかった甲子園の土を踏む日が、今から楽しみだ。

MACK JACK

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逆境や壁を、壊すのが好きなんです(M.C.L)

M.C.L(ミッチェル)

M.C.L(ミッチェル)

ーーSPICEには初登場となりますので、まずは自己紹介をお願いします。

ALI:MACK JACKの左の変則サウスポー、ALIです。

M.C.L:MACK JACKのヒゲのリーダー、ミッチェルです。M.C.Lと書いてミッチェルと読みます。

CHAI:MACK JACKのガリガリのお調子者、CHAIです。

JAGA-C:MACK JACKの呑んだくれ番長、JAGA-Cです。

ーー皆さんキャッチコピーがついてるんですね。

ALI:こんな真面目にやったのは初めてです(笑)。

ーー結成当初からキャッチコピーを作られていたんですか?

M.C.L:最初からではないですね。去年ぐらいからかな。4人で挨拶してもなかなか覚えてもらえないので、キャラを推していこうかなと。僕とJAGA-Cは覚えられやすいんですけど、CHAIとALIが薄い感じで。

CHAI:どっちがどっちやねんみたいな。

M.C.L:まあ、やり続けていこうかなと。

ALI(アリ)

ALI(アリ)

ーーすごく良いと思います(笑)。結成のお話を聞きたいのですが、全員が元野球部なんですね。M.C.Lさん、ALIさん、CHAIさんは高知の高校で寮生活をされていたと。

CHAI:JAGA-CはM.C.Lと幼馴染です。

JAGA-C:僕だけ3人とは高校が別で、中学まで野球をやってました。

ーー高校時代はレゲエを聴いてらっしゃったんですか?

ALI:寮生活なので、コンポとか持ってきた奴が曲をかけれる寮の部屋のルールがあって。

M.C.L:日本のレゲエをかけてる友達がいて、そこから結構影響はもらってますね。

CHAI:湘南乃風さんに憧れて、誰が誰役とか決めて、文化祭で歌わせてもらったら、もう気持ち良すぎて。

ーーその時の体験が忘れられず?

CHAI:そうっすね。あれが初めてバットじゃなくてマイクを握った経験やったんですけど(笑)。

ーーそれは何年生の時ですか。

CHAI:高校3年生の時ですね。2年生の時はそんな調子乗れなかったです(笑)。

M.C.L:たまにあるオフは絶対にカラオケに行って。カラオケ上手い奴はモテると思い込んでたんで。だから高校時代も音楽がずっと満ち溢れてましたね。

ーー結成されたのは高校卒業してすぐですか。

ALI:すぐではないですね。2年後の20歳ぐらいかな。

M.C.L:楽しいことを探してレゲエの現場に遊びに行って、「俺らでもできるんちゃうか」みたいなノリが爆速してやり始めました。けど1年間は迷ってました。神戸に帰ってきて、結構燃え尽き症候群になってて。野球に代わる情熱が全然見つからなかったので、それを探した1年間だったかなと。

ALI:流れとしては、2人(M.C.LとALI)と他の友達でやってたイベントに、JAGA-Cが積極的に遊びに来てくれてて。途中から「一緒にやろうや」という感じになりました。CHAIはその時、ばりばりコックで働いててなかなか時間が取れなかったんですけど、「俺もやるぞ」というマインドになってくれて、そこからですね。

CHAI:結成時から「一緒にやろうよ」とは言われてて。ある日、M.C.Lの家に遊びに行ったら、ただの学生だった彼が急にノートを見せつけてきて。見たら「リリック帳」とすごく綺麗じゃない字で書いてあって。「俺やるねん。お前もやろや」と言われて、それが始まりの瞬間です。

M.C.L:やめろや(照笑)。

CHAI(チャイ)

CHAI(チャイ)

ーーリリック帳はいつから書いてらっしゃったんですか。

M.C.L:僕は高校卒業後、柔道整復師というリハビリの先生の専門学校に行ったんですけど、その授業中に書きまくってました。

CHAI:僕は何だかんだ3年ぐらいはできなかったんですけど、やりたい気持ちはずっとあったので、コックしながら「すいません。お腹が〜」とか言ってトイレに行って携帯出して、ひたすらボイスメモに残して。忙しくて書いてる隙がなかったので、こっそりやってましたね。

JAGA-C:僕は最初はとにかく書いて、M.C.Lに繰り返し見せてました。とりあえず自分の想いを中心に書いて。その後プロデューサーのYANAGIMANさんと出会ってまた違う書き方を知りました。そういう面ではすごく勉強になりましたね。

CHAI:書く理由は何なんやろうと考えると、やっぱ言葉に刺激を受けるんですよね。特にレゲエの歌を聞くと、どストレートにガーッと心が押し上がってくる。「俺やったらこう言いたい」というのが出てきて書いてたと思います。

ーーそれぞれの歌唱パートのリリックを書かれるんですか。

ALI:基本そのパターンが多いですね。でも持ち寄ったりすり合わせるタイミングで、多少のテーマのズレがあった時には、皆で意見を出し合いながら修正を加えていきます。

ーーサウンド面は?

ALI:サウンドはずっとYANAGIMANさんと作ってます。一緒にブラッシュアップしていく感じですね。

JAGA-C(ジャガシー)

JAGA-C(ジャガシー)

ーー野球部だったからこそ、音楽活動に活かされてるなと思うことはありますか。

M.C.L:ざっくり全部ですよね。音楽というよりも、人生的に。

ALI:体力的にも精神的にも、ちょっとやそっとじゃへこたれへん。それぞれ皆しんどい時もあると思うんですけど、野球で培った忍耐力は今も活きてるかなと。

M.C.L:そうやな。逆境とか壁を壊すのが好きなんです。

ーーいいですねえ!

M.C.L:ゲームセットまで絶対諦めへん。

ーー高校野球は特に最後まで何が起こるかわからないですもんね。

M.C.L:そうなんです。諦めなかったら絶対何かあるというのはもうわかってるので。だから僕らも諦めない想いでずっとやれてますね。

ジャマイカで感じたM.C.Lのバイブス(ALI)

ALI(アリ)

ALI(アリ)

ーー2014年にはジャマイカに渡られたんですよね。行動力がすごいなと。

ALI:リーダーが「今しかない」なと。

M.C.L:多分ほんまにそのタイミング逃したら、まだ行けてないかもしれないぐらいでした。

ーーレゲエの本場に行って肌で感じたいと?

M.C.L:そうですね。レゲエが好きなので発祥の地をしっかり知らないと、伝えていくのも難しいんちゃうかなと思ったので。

ALI:当時はこのJAMDUNGでイベントにも出させてもらっていて、レゲエをやってる人は結構皆ジャマイカを行き来したり、行ったら1年間行きっぱなしとか、そういうのがざらにあって。色んな話を聞くと「行きたいな〜」という気持ちが高まって。

M.C.L:でも行きたいだけじゃ行けないのはわかってたので、僕は強引に「この日にいくぞ、金用意しとけ」と決めました。

ーーCHAIさんは日本にいたんですよね。

CHAI:よくご存知で(笑)。僕はコックの仕事があったので、みんなのいない1ヶ月間の支払いとかをしてました。

M.C.L:家賃振り込んどいてくれとかね。

CHAI:それからみんながジャマイカに行ってる間、僕はJAMDUNGで1人で出させてもらったりもしてたんですよ。で、ラバダブというマイクを取り合ったりマイク回しをするステージ寸前でピリピリしてる時に、すごいジャマイカンなバイブスで電話してくるんですよ。M.C.Lは特にスローで「ヤオ〜。CHAI〜。今何してる〜?」とか。あれに助けられましたね。おかげでリラックスできました。

ーージャマイカでのエピソードはありますか。

ALI:ジャマイカって治安があまり良くないというか、日本人だけで夜行動すると危ないと言われる地域なんですよね。でもレゲエの音楽イベントは夜中にやってたりするので、お金を払って現地のジャマイカ人にボディガードとしてついてきてもらってね。

ーーへえ。

ALI:日本円で100円〜200円ぐらいなんですけど。一緒に行くことで「あいつは地元の奴と一緒にいるから襲わないでおこう」となるんですよ。で、1か所で音楽イベント楽しんで、次のとこ移動しようかという時にM.C.Lが喧嘩してて。

ーー喧嘩!

M.C.L:ジャマイカ人とえらい言い合いになって。最初は「俺に任せろ」とか言ってたのに、いきなり追加料金を求め出して。「それはちゃうやろ、お前もう帰れ」みたいな感じで。日本語でわーっと言いました。

ALI:あの喧嘩がジャマイカ一の出来事かも。M.C.Lのバイブス感じたから。

M.C.L:俺はジャマイカのスタジオで現地のエンジニアさんと曲を作りたかったから、スタジオに行って「トラック作って」と頼んだら、トラック流されて「歌え」といきなり言われて。ジャマイカ人が結構いる中で日本語で歌うわけにはいかへんと思って、英語に変えながら歌って、めちゃくちゃ恥かいたっすね。

ALI:(笑)。

M.C.L:「その程度で曲作れ言うな」と言われて。あれはだいぶ苦い経験でしたね。トラックは何とか入手して、日本に帰って4人で完成させました。

ALI:それが、1st アルバム『Bellyas』に入れた曲ですね。

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