「生と死」「境界」を描いた日本初公開15点を含む約100点が大阪に、没後日本初の回顧展『アンドリュー・ワイエス展』の見どころ

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2026.8.20

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2026年10月3日(土)から12月6日(日)まで大阪・あべのハルカス美術館にて開催される『アンドリュー・ワイエス展』の見どころが発表された。

日本初公開15点を含む約100点の作品を通して、「アメリカを描く画家」として親しまれてきたアンドリュー・ワイエス(1917~2009)の画業をたどる。

同展は、ワイエス没後初、国内では17年ぶりとなる回顧展。戦後アメリカ美術の前衛的な潮流とは距離を置き、身近な風景や人々を精緻な写実表現で描き続けたワイエスの世界に迫る。

作品の多くは、故郷ペンシルベニア州と、夏を過ごしたメイン州を舞台としている。身近な人々や風景を見つめ、そこに自身の人生経験や深い精神性を重ねることで、地域や時代を越えて人々の心を動かす絵画を生み出した。

1章「ワイエスという画家」

「自画像」 1945年 テンペラ、パネル ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン、ニューヨーク National Academy of Design, New York, USA/Bridgeman Images.  ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

「自画像」 1945年 テンペラ、パネル ナショナル・アカデミー・オブ・デザイン、ニューヨーク National Academy of Design, New York, USA/Bridgeman Images. ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

1章「ワイエスという画家」では、アメリカ美術史の中でも容易に位置づけることのできない、独自の絵画世界を築いたワイエスの人物像と画業を紹介する。

5人きょうだいの末っ子として生まれたワイエスは、幼いころから自己流で絵を描いていたが、有名な挿絵画家だった父から本格的に指導を受けることにより、才能を開花させる。少年時代から行き来したペンシルベニア州とメイン州を舞台に、身近な人々や風景を描き続けた。その作品は、美術史上の自らの位置づけを意識することなく描かれたもので、人生そのものを映し出す「私小説」のような側面を持っていたという。

2章「光と影」

「洗濯物」 1961年 水彩、紙 カマー美術館、ジャクソンビル Gift of an Anonymous Donor, Cummer Museum of Art & Gardens, Jacksonville, Florida, USA  ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

「洗濯物」 1961年 水彩、紙 カマー美術館、ジャクソンビル Gift of an Anonymous Donor, Cummer Museum of Art & Gardens, Jacksonville, Florida, USA ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

2章「光と影」では、光と影を巧みに用いながら、「生と死」という普遍的な命題に向き合った作品を紹介する。

ワイエスが生と死を強く意識するようになった背景には、1945年、踏切事故で父と幼い甥を亡くした経験がある。さらに5年後には、肺疾患の手術中に一時的に心臓が止まるという経験もした。死を身近なものとして捉えるようになったワイエスは、生と死を対立するものではなく、つながり合うものとして表現した。そこには、日本人にもなじみ深い「世の無常」に通じる思想を見いだすことができる。

3章「ニューイングランドの家――オルソン・ハウス」

「クリスティーナ・オルソン」 1947年 テンペラ、パネル マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス Myron Kunin Collection of American Art, Minneapolis, MN  photo: Curtis Galleries, Inc.  ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

「クリスティーナ・オルソン」 1947年 テンペラ、パネル マイロン・クニン・コレクション、ミネアポリス Myron Kunin Collection of American Art, Minneapolis, MN photo: Curtis Galleries, Inc. ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

3章「ニューイングランドの家――オルソン・ハウス」では、ワイエスが約30年にわたって描き続けたメイン州のオルソン・ハウスと、そこに暮らすクリスティーナ、アルヴァロのオルソン姉弟に焦点を当てる。

進行性の病気によって脚が不自由でありながら、気高い独立心を持って生きたクリスティーナと、彼女を支えるため農作業に従事した忍耐強いアルヴァロ。2人の人間性に強くひかれたワイエスは、クリスティーナをモデルに数々の作品を生み出した。なかでも、台所の戸口に腰掛ける彼女を描いた「クリスティーナ・オルソン」は、陽光のあふれる外と暗い室内の境界線上にいる彼女の髪が海風になびき、生命の一瞬の輝きがとらえられている。

4章「まなざしのひろがり」

 [灯台] 1983年 テンペラ、パネル ユニマットグループ   ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

[灯台] 1983年 テンペラ、パネル ユニマットグループ ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

4章「まなざしのひろがり」では、クリスティーナらの没後、幅広いモチーフへとまなざしを向けるようになったワイエスの作品を紹介する。

「花びら」 1991年 水彩、紙 ボストン美術館 Museum of Fine Arts, Boston, Bequest of Sandra Sheppard Rodgers  ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

「花びら」 1991年 水彩、紙 ボストン美術館 Museum of Fine Arts, Boston, Bequest of Sandra Sheppard Rodgers ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

メイン州の島にある灯台の内部を描く「灯台」には、妻ベッツィの飼い犬ノームが描かれている。また、日本初公開となる「花びら」では、ワイエス夫妻の自宅母屋が描かれている。

5章「境界あるいは窓」

「ゼラニウム」 1960年 ドライブラッシュ・水彩、紙 ファーンズワース美術館、ロックランド Collection of the Farnsworth Art Museum, Rockland, Maine,  Bequest of Betsy James Wyeth Trust,2021.1.1 ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

「ゼラニウム」 1960年 ドライブラッシュ・水彩、紙 ファーンズワース美術館、ロックランド Collection of the Farnsworth Art Museum, Rockland, Maine, Bequest of Betsy James Wyeth Trust,2021.1.1 ©2026 Wyeth Foundation for American Art / ARS, New York / JASPAR, Tokyo

5章「境界あるいは窓」では、窓やドア、水路に張った氷など、生と死を隔てる「境界」をモチーフとした作品を集める。

ワイエスにとって「境界」は、生と死を分かつだけのものではなく、両者をつなぎ、連続させるものの象徴でもあった。自身の心を動かす対象を見つめ続けたワイエスの作品は、個人的で閉じた世界にとどまることなく、さまざまな境界を越えて、多くの人の心に届く普遍性を獲得していった。

音声ガイドでは、展覧会ナビゲーターを俳優の吉瀬美智子が、ナレーションを声優の神尾晋一郎が務める。音声ガイドに初挑戦する吉瀬は、「初めてだからこそ感じられる驚きや心の動きを大切にしながら、作品の魅力をみなさんにお届けできたらと思っています」とコメントしている。

身近な風景や人々を描きながら、そこに生と死、記憶、時間といった普遍的なテーマを重ねたワイエス。日本初公開作品15点を含む約100点の作品をじっくりと味わいながら、ワイエスが描いた「境界」について、さまざまに思いを巡らせることができる展覧会といえよう。

はイープラスで販売中。

イベント情報

『アンドリュー・ワイエス展』
会期:2026年10月3日(土)~2026年12月6日(日)※会期中、一部展示替えがあります。
会場:あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F)
開館時間:【火~金】10:00~20:00 【月土日祝】10:00~18:00 ※入館は閉館30分前まで
休館日:10月5日(月)
主催:あべのハルカス美術館、産経新聞社、関西テレビ放送
協賛:DNP大日本印刷
特別協力:丸沼芸術の森、ユニマットグループ
協力:ワイエス財団、日本航空
後援:アメリカ大使館
お問合せ:あべのハルカス美術館 TEL:06-4399-9050
美術館公式HP:https://www.aham.jp/exhibition/future/wyeth/
大阪展 HP:https://www.ktv.jp/event/wyeth/
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