《連載》もっと文楽!~文楽技芸員インタビュー~ Vol. 14 豊竹藤太夫(文楽太夫)

インタビュー
舞台
2026.1.20


「技芸員への3つの質問」

【その1】入門したての頃の忘れられないエピソード

入門してすぐの頃、東京公演の折に、住太夫師匠に国立劇場の近くに長寿庵というお蕎麦屋さんで鴨南蛮蕎麦とライスをご馳走になったのが美味しくて。師匠はいつも、ご自分と同じものをご馳走してくださったのですが、こうやって炭水化物を取るのが文楽の太夫なんだ!と思いました。大阪では麺とライスを一緒にいただくのは一般的ですが、当時は東京にはそういう注文をする人がおらず裏メニューでした。今はちゃんとメニューにあります。あの味が忘れられなくて、講師として国立劇場に教えに来るたびに食べています。

【その2】初代国立劇場の思い出と、二代目の劇場に期待・妄想すること

初代の劇場にはもう、血も涙も染み込んでいます。講師という立場になって教えてみて、住太夫師匠に言われたことがよくわかってきました。なにせ、同じ国立劇場研修室で同じ格好をして同じようにやっていますから。養成所の講師の要請が来た時、師匠に「僕には無理ですよ」と言ったら「やったらええんや」「人に教えることがお前の勉強や」とおっしゃいました。本当にそうだと実感しています。
今、文楽公演で色々な劇場を回っていて思うのは、僕ら太夫にとってはとにかく残響が大切だということ。残響1.1秒が理想です。文楽の音響に適した劇場を期待しています。

【その3】オフの過ごし方

サップボードが結構好きなんです。ボードの上に立つのは苦手なので椅子をつけて座り、笹舟のように流れていくのがお気に入りです。
 

取材・文=高橋彩子(舞台芸術ライター)

公演情報

『令和8年2月文楽公演』
 
日程:2026年2月11日(水)~2026年2月23日(月)
会場:KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉
※16日(月)は休演
 
開演時間:
第一部 午前11時開演(午後2時05分終演予定)
第二部 午後2時45分開演(午後5時45分終演予定)
第三部 午後6時30分開演(午後7時45分終演予定)
※開場時間は、開演30分前の予定です。
 
演目・主な出演者:
第一部 (午前11時開演)
 
通し狂言 絵本太功記(えほんたいこうき)
発 端 安土城中の段
六月朔日 二条城配膳の段
六月二日 本能寺の段
六月五日 局注進の段
     長左衛門切腹の段
 
第二部 (午後2時45分開演)
 
通し狂言 絵本太功記(えほんたいこうき)
六月六日 妙心寺の段
六月九日 瓜献上の段
六月十日 夕顔棚の段
     尼ヶ崎の段
 
第三部 (午後6時30分開演)
 
《文楽名作入門》
勧進帳(かんじんちょう)
 
 
主催=独立行政法人日本芸術文化振興会
 

募集要項

シェア / 保存先を選択